今回ご紹介する本は、こちら。
最近読んだ本の中で、特に面白かった1冊です。
日本の電機メーカーが、今日までどのように成長し、そして凋落に至ったか、
名著「失敗の本質」に沿う形で、わかりやすく解説してくれている本です。
日本の電機メーカーが成長する過程で欠かせないのは、
筆者の言葉を借りると2つの「ファミリー」の存在。
1つは、NTTを頂点とする通信ファミリー
1つは、東電を頂点とする電力ファミリー
通信ファミリーの庇護のもと成長してきたのがNEC、富士通であり、
電力ファミリーのそれのもと成長してきたのが、東芝、日立。
各社が今日、どのように衰退に至ったかは、皆様のよく知るところだと思います。
そして、このファミリーを後ろで操っているのが、
日本政府、国会議員であることも、本書を通じて学んだことの1つです。
NTT、電力会社が、「電話代、電気代」という形で、
広く国民から料金(=ほぼ税金)を巻き上げ、
その料金を基に、NTT、電力会社が通信機器や原発などの設備拡充を、
NEC、東芝らに発注するという構図が出来上がっていたのです。
競争の原理が働かない世界では、癒着に近い構図がまかり通ってしまう点、
国民一人一人が理解しないといけないなと思ったところです。
さらに、社内内部の権力闘争によって、経営判断を誤り、
会社自体の経営が危機に陥ってしまう点も、各社共通した問題として紹介されていました。
これは、旧日本軍の問題をついた「失敗の本質」の内容そのものです。
社員の生活を預かる立場である経営者が、
自分の名誉心によって経営を歪めてしまうこと自体、
あってはならないことだと強く思います。
色々と考えさせてくれる本です。
ぜひお試しください。